タンパク尿
■タンパク尿
タンパク尿とは、尿中にタンパクが
1日150mg以上でる場合をいう。
1日150mg以上の尿タンパクは異常である。
正常者でも、1日に10~100mgほどの
尿タンパクは出る。
尿というのは、血中の血漿が腎臓で濾過されて、
濃縮されたものです。
尿中にタンパクがでてくるというのは、
血漿のタンパクが腎臓をとおって、尿にでてきた
ということです。
血漿のタンパクの大部分は、アルブミンであり、
その分子量は、69000ほどであり、
このくらいの大きさのタンパクは、
腎臓を通り抜けることができません。
腎臓の糸球体というところで、尿が濾過されて
いるのですが、この糸球体には、サイズバリア
というものがあり、アルブミンくらいの大きさ
以上のものを通しません。
また、チャージバリアというものもあり、
陰性の電荷のものを跳ね返し、とおしにくくして
います。
アルブミンはマイナスの電荷なので、これまた
とおりにくくなっています。
というわけで、タンパク=アルブミンは
尿中にほとんどでません。
しかし少量のタンパクはこの糸球体を通り抜けますが、
尿細管というところで再吸収されて、結局は、
尿中には、タンパクはほとんどでないしくみに
なっています。
■タンパク尿の原因
タンパクが尿にでるということは、尿をつくる部分が
こわれていることが考えられます。
すなわち、腎臓で、腎臓の糸球体という部分です。
この糸球体には、さきほどにも説明したように、
サイズバリア
と
チャージバリアという
バリアが存在しています。
しかし、なんらかの腎臓疾患で、この糸球体に異常がでて
くると、このバリアが崩壊して、本来なら
糸球体をとおれない物質が尿中に排泄されてしまいます。
■タンパク尿で考えられる疾患
タンパク尿が出た場合、考えられる疾患としては、
1.ネフローゼ症候群
2.腎炎
が主に考えられます。
また、生理的タンパク尿といって、
腎臓の障害ではないが、
過度な運動や、多量なタンパクを摂取した後などに
一過性にみられるタンパク尿もある。
起立時にのみタンパク尿があらわれる、
起立性タンパク尿といわれるものもある。
これらの生理的タンパク尿は病的なタンパク尿でない
■タンパク尿の検査
尿検査で最も簡単なものは、
尿に試験テープ(試験紙)をつけて、その変化をみる
ものであるが、1回だけ陽性反応がでても、
病的かどうかはわからないので、
早朝尿や、運動後の尿など
いろいろな条件での検査を行う。
もし、腎疾患の可能性が疑われたら、
精密検査になる。
腎臓は、一回だめになると、もとに戻らない臓器なので
何回もタンパク尿検査でひっかかる人は、
腎臓内科を受診して、くわしく検査するほうがよい。