尿素・尿素窒素(BUN)

尿素・尿素窒素(BUN)

尿素と尿素窒素というものがあるが、これらは別物である。

尿素とは、アミノ酸の最終代謝物質である。

体のタンパク質は、アミノ酸になり、

アミノ酸はアンモニアに分解される。

そしてこのアンモニアは、肝臓の細胞の尿素サイクルに

より、尿素となる。

つまり

タンパク質→アミノ酸→アンモニア(NH3)→尿素サイクル

→尿素

となる。


尿素は、O=C-NH2-NH2 で 分子量が60である。

尿素窒素は、N-N で 分子量28である。

つまり、尿素窒素は、尿素の分子式の窒素(N)だけをとった

ものである。

なぜ、尿素と尿素窒素ということばがあるかというと、

血中では、尿素であり、

検査では、尿素窒素を測定するからである。


尿素は、アミノ酸の最終代謝物質であり、血中の尿素は、

腎臓から尿に排泄される。


尿素と尿素窒素の正常値

正常値

尿素   18~42mg/dl
尿素窒素  8~18mg/dl

となる。

尿素の分子量が60で、
尿素窒素の分子量が28なので、

60/28=2.14であり、

尿素窒素の測定値×2.14=尿素

となる。


尿素窒素が上昇する疾患

基本的に尿素が増える原因としては、

排泄させるおしっこが出なくなるときと

アンモニアの生成がおおく、尿素がたくさん

つくられる時である。

おしっこが出なくなるのは、腎不全である。

なので、腎不全で、尿量がすくなくなるか、

尿がまったくでなくなると、尿素窒素は

上昇する。


また、タンパク摂取量が増えたときも

多少上昇する。


消化管出血では、赤血球、血漿タンパクが腸管で

分解され、そのときにアンモニアが生成されて、

その結果、尿素窒素が上昇する。


まとめると、

・腎不全
・タンパク摂取量の増加
・タンパク異化亢進
・消化管出血

などにより、

尿素窒素は上昇する。


ちなみに、腎不全患者で、尿がまったくでなくなった場合、

2日くらいで、尿素窒素は100mg/dlを越える


尿素窒素が上昇したらどうなるか?

尿素窒素が上昇すると尿毒症症状として、

神経症状や消化管症状などがあらわれる。

また、尿素窒素は血漿浸透圧にも関与しており、

尿素窒素が2.5mg/dl上昇ごとに、浸透圧は1mOsm/l上昇

する。

例えば、尿素窒素が100mg/dl上昇すれば、

浸透圧は、約40mOsm/lも上昇することとなる。


BUNとは?

BUNという言葉があるが、

BUNとは、blood urea nitrogen

であり、血中尿素窒素のことである。

BUN=尿素窒素であるとおもってよい。




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