尿素・尿素窒素(BUN)
■尿素・尿素窒素(BUN)
尿素と尿素窒素というものがあるが、これらは別物である。
尿素とは、アミノ酸の最終代謝物質である。
体のタンパク質は、アミノ酸になり、
アミノ酸はアンモニアに分解される。
そしてこのアンモニアは、肝臓の細胞の尿素サイクルに
より、尿素となる。
つまり
タンパク質→アミノ酸→アンモニア(NH3)→尿素サイクル
→尿素
となる。
尿素は、O=C-NH2-NH2 で 分子量が60である。
尿素窒素は、N-N で 分子量28である。
つまり、尿素窒素は、尿素の分子式の窒素(N)だけをとった
ものである。
なぜ、尿素と尿素窒素ということばがあるかというと、
血中では、尿素であり、
検査では、尿素窒素を測定するからである。
尿素は、アミノ酸の最終代謝物質であり、血中の尿素は、
腎臓から尿に排泄される。
●尿素と尿素窒素の正常値
正常値
尿素 18~42mg/dl
尿素窒素 8~18mg/dl
となる。
尿素の分子量が60で、
尿素窒素の分子量が28なので、
60/28=2.14であり、
尿素窒素の測定値×2.14=尿素
となる。
■尿素窒素が上昇する疾患
基本的に尿素が増える原因としては、
排泄させるおしっこが出なくなるときと
アンモニアの生成がおおく、尿素がたくさん
つくられる時である。
おしっこが出なくなるのは、腎不全である。
なので、腎不全で、尿量がすくなくなるか、
尿がまったくでなくなると、尿素窒素は
上昇する。
また、タンパク摂取量が増えたときも
多少上昇する。
消化管出血では、赤血球、血漿タンパクが腸管で
分解され、そのときにアンモニアが生成されて、
その結果、尿素窒素が上昇する。
まとめると、
・腎不全
・タンパク摂取量の増加
・タンパク異化亢進
・消化管出血
などにより、
尿素窒素は上昇する。
ちなみに、腎不全患者で、尿がまったくでなくなった場合、
2日くらいで、尿素窒素は100mg/dlを越える
■尿素窒素が上昇したらどうなるか?
尿素窒素が上昇すると尿毒症症状として、
神経症状や消化管症状などがあらわれる。
また、尿素窒素は血漿浸透圧にも関与しており、
尿素窒素が2.5mg/dl上昇ごとに、浸透圧は1mOsm/l上昇
する。
例えば、尿素窒素が100mg/dl上昇すれば、
浸透圧は、約40mOsm/lも上昇することとなる。
■BUNとは?
BUNという言葉があるが、
BUNとは、blood urea nitrogen
であり、血中尿素窒素のことである。
BUN=尿素窒素であるとおもってよい。