自己免疫性肝炎
■自己免疫性肝炎
・自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis :AIH)とは、
自己免疫反応によって生じる、原因不明の肝炎である。
通常、慢性肝障害の約80%は、肝炎ウイルスが原因のもの
であり、自己免疫性の場合は5%以下と少ない。
・自己免疫性肝炎をともなう場合、他の自己免疫性疾患を
合併する頻度が高い。
・肝炎は、慢性に進行し、肝硬変になる。
・急性肝炎を発症する場合もある。
・自己免疫反応の原因となる抗原は、不明である。
・女性に多くみられる
・遺伝的素因も考えられる
■自己免疫性肝炎の症状
・発熱が多い
・肝機能が低下し、症状が進行すると、
黄疸、腹水、浮腫などの肝不全症状がでてくる。
黄疸は、眼が黄色くなり、皮膚もだんだん黄色くなってくる
腹水は、おなかの腹くうといわれる部分に水がたまることで、
おなかがぽっこりとふくれる。
浮腫とは、むくみのことで、浮腫がひどくなると、腕や足を
指で皮膚をおすと、低反発枕のようにふにゅっとなる症状である。
これは、皮膚の下に水分がおおく溜まっていることによる。
■自己免疫性肝炎の診断
・抗核抗体(ANA)
・抗平滑筋抗体などの自己抗体が陽性
自己抗体とは、自分の細胞を攻撃する抗体である。
・血清γ-グロブリン値、IgG値が上昇する(2g/dl以上)
・肝炎ウイルスマーカは陰性
・慢性肝炎、肝硬変になっている
■自己免疫性肝炎の治療
・副腎皮質ステロイドが著効する
基本的に、肝炎だけなら、ステロイドになる。
他の合併した症状にたいしては、その症状にあった
対処になる。
肝臓の機能が低下すると、生体に必要ないろいろな物質が
作れなくなるので、それを補充する。
実際には、血清タンパクが作れなくなるので、低下する。
●コメント
私も今まで一回この患者さんをみたことがありますが、
自己免疫性肝炎で、ある程度進んでいて、肝硬変に
なっていました。
なので、腹水、多少の黄疸がありました。
この患者さんは、他の自己免疫疾患である強皮症と
特発性血小板紫斑病というものを合併していて
とても重症でした。
結局この患者さんは、治療にいきずまり、血漿交換
という、血漿をいれかえる治療をしました。