鉄(血清鉄)
■鉄(血清鉄)
通常鉄が少ないというと、血清中の鉄が
少ないということをさします。(血清中とは血中とおなじと思って
ください)
では、血中の鉄が少ないとはどうゆう意味なのでしょうか?
人間の体には、約4gの鉄があります。
しかし、そのほとんどは、赤血球や
肝臓、脾臓、骨髄、筋肉などに分布しており、
血清中には、全体の約0.1%しかありません。
つまり4mgです。
そして血清中の鉄は、トランスフェリンといわれる
タンパクとくっついて存在します。
すなわち
血中にある鉄=血清鉄=鉄+トランスフェリン
ということになります。
■血清鉄の正常値
男性:64~187ug/dl
女性:40~162ug/dl
となります。
血清鉄の半減期は、1~2時間
トランスフェリンの半減期は約8日となる。
■血清鉄の代謝
鉄は、赤血球をつくるのに主に使われる。
また出血などで減少する。
1日に消費される鉄は、約28mgほどである。
このうち70%ほどは、赤血球が寿命となり
赤血球が破壊されるときのヘモグロビンが分解させる
ときの鉄により供給される。
結局、1日に0.5~1.5mgの鉄が失われる。
だいたい1日に食事から鉄を10~15mg摂取すると
吸収されるのは、1~1.5mgなので、
ほとんど吸収と消費がおなじになる。
もし鉄の摂取がほとんどなくても、
体内に貯蔵されている鉄があるので、
男性なら約2年間は、まったく鉄をとらなくても
大丈夫であるといわれている。
しかし女性では、月経時に毎月16~32mgの鉄を
失うことになる。
■血清鉄が減少する原因
血清鉄が減少すると、鉄欠乏性貧血がおこりやすくなる。
これは、鉄が少ないことで、赤血球が作れなくなる
からである。
血清鉄が減少する原因としては、以下のものがある
1.栄養不良、摂取不足
食事からの鉄の摂取が不足し、吸収が
少ない場合です。
2.慢性の失血
これは、血が血中から少なくなるために
鉄が欠乏するということである
3.感染症、膠原病、がん
機序は不明
4.トランスフェリンの減少
ネフローゼなど尿中に排泄されてしまうので