血清カルシウム
■血清カルシウム
血清カルシウムとは、血中にあるカルシウムのことである。
つまり、血液検査の時のカルシウムの値のことである。
正常値は、8.5~10.4mg/dl である。
平均的には、10mg/dlである。
単位がmg/dlであるが、mEq/lの単位に変換すると
mg/dlの1/2として換算できる
つまり、10mg/dl=5mEq/l
血清カルシウムは次の3つの状態で血中の中にある。
1.イオン化カルシウム
2.イオンと結合したカルシウム
3.たんぱく質と結合したカルシウム
これらすべてをあわせて10mg/dlくらいある。
正常状態では、
1.イオン化カルシウム 5.3mg/dl(2.6mEq/l)(約50%)
2.イオンと結合したカルシウム 1.3mg/dl(0.6mEq/l)(約3%)
3.たんぱく質と結合したカルシウム 3.4mg/dl(1.7mEq/l) (約47%)
となっている。
この中でもっとも重要なのは、
1.イオン化カルシウム 5.3mg/dl(約50%)である。
なぜイオン化カルシウムが重要なのかというと、
イオン化カルシウムは、
神経・筋肉の刺激
興奮、伝達
血液凝固
などの生理作用があるからである。
タンパクと結合したカルシウムとイオンと結合したカルシウムには、
ほとんど重要な役割はない。
イオン化カルシウムが低下してくると、筋肉・神経の興奮が生じやすく
なる。
なので、イオン化カルシウムが低下すると、手足の先や唇がしびれてくる。
血清カルシウムのカルシウムとタンパクの結合は、pHに依存している。
アシドーシスでは、カルシウムイオンが増加し、
アルカローシスでは、カルシウムイオンは減少する。
■低カルシウム血症の症状
低カルシウム血症とは、血清カルシウム濃度が8.5mg/dl以下
の場合をいう。
低カルシウム血症で、血清カルシウムが7mg/dl以下くらいになると
テタニー発作を生じる場合がある。
テタニーとは、特徴的な手指の痙攣である。
低カルシウム血症の症状としては以下のものがある。
●神経症状
・手指のしびれ
・くちびるのしびれ
・全身痙攣
・不穏
・興奮
・せん妄
・幻覚
●心筋の症状
・心収縮力の低下
・不整脈
●消化管の症状
・嘔吐
・下痢
・悪心
・腸管痙攣
●皮膚症状
・皮膚乾燥
・湿疹
・脱毛
・爪、歯、毛髪の形成不全
■低カルシウム血症の原因
低カルシウム血症の原因としては、以下のものがある。
●カルシウムの摂取不足
●カルシウムの吸収障害
・ビタミンDの摂取不足
・活性化ビタミンDの産生障害
・肝不全
・腎不全
●骨吸収の抑制、骨形成の促進
・副甲状腺の機能低下
●カルシウムの排泄増加
・副甲状腺の機能低下
カルシウムを腸から吸収するには、
活性型ビタミンDが必要となるので、
活性型ビタミンDが少ないと、カルシウムの吸収は
ほとんどなくなってしまう。
その結果低カルシウム血症となるが、
副甲状腺ホルモンカルシトニンという
ホルモンの影響や、
骨からのカルシウムの融解などで、
血中のカルシウムは調節される。
しかし、ある程度の範囲を越えると、これらの機能が限界
となり、低カルシウム血症となる。