低カルシウム血症
■低カルシウム血症
低カルシウム血症とは、血清カルシウム濃度が8.5mg/dl以下の場合をいう。
正常値は、8.5~10.4mg/dl である。
平均的には、10mg/dlである。
単位がmg/dlであるが、mEq/lの単位に変換すると
mg/dlの1/2として換算できる
つまり、10mg/dl=5mEq/l
■低カルシウム血症の症状
低カルシウム血症の症状としては以下のものがある。
●神経症状
・手指のしびれ
・くちびるのしびれ
・全身痙攣
・不穏
・興奮
・せん妄
・幻覚
●心筋の症状
・心収縮力の低下
・不整脈
●消化管の症状
・嘔吐
・下痢
・悪心
・腸管痙攣
●皮膚症状
・皮膚乾燥
・湿疹
・脱毛
・爪、歯、毛髪の形成不全
低カルシウム血症で、まずわかりやすい症状は、
手指、くちびるのしびれである。
このしびれは、イオン化カルシウムが低下した
場合にまず現れる症状である。
■低カルシウム血症の原因
低カルシウム血症の原因としては、以下のものがある。
●カルシウムの摂取不足
・食事によるカルシウム摂取不足
●カルシウムの吸収障害
・ビタミンDの摂取不足
・活性化ビタミンDの産生障害
・肝不全
・腎不全
●骨吸収の抑制、骨形成の促進
・副甲状腺の機能低下
●カルシウムの排泄増加
・副甲状腺の機能低下
カルシウムを腸から吸収するには、
活性型ビタミンDが必要となるので、
活性型ビタミンDが少ないと、カルシウムの吸収は
ほとんどなくなってしまう。
その結果低カルシウム血症となるが、
副甲状腺ホルモンカルシトニンという
ホルモンの影響や、
骨からのカルシウムの融解などで、
血中のカルシウムは調節される。
しかし、ある程度の範囲を越えると、これらの機能が限界
となり、低カルシウム血症となる。
■低カルシウム血症の治療
カルシウムは、血中では、
約50%はタンパク質と結合していて
約50%はイオン化となっている。
よって、血清タンパクが減少することによって
低カルシウム血症となった場合は、
特に治療する必要はない。
低カルシウム血症で治療を要するのは、
イオン化カルシウムが低下したときで、
またカルシウム濃度が7mg/dl以下になったときである。
このくらいの低カルシウムになると、手指やくちびるのしびれが
でてくる。
治療は、カルシウム製剤を点滴で静脈から入れる。
活性型ビタミンDの産生障害の人は、
活性型ビタミンD製剤を投与する。